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Tuesday, November 16, 2021

中村医師が進めたアフガンの灌漑、ガイドラインで後世に…江戸時代の堰を参考 - 読売新聞

 民間活動団体(NGO)「ペシャワール会」(福岡市)の現地代表として、アフガニスタンで 灌漑かんがい 事業に取り組んだ中村哲医師を中心に作成してきた事業のガイドライン(手引)が年内にも完成する。環境が整っていない現地で試行錯誤の末にたどり着いた土木技術を後世に残す取り組み。深刻な干ばつに苦しむアフガンで技術が普及し、農地の回復につながることが期待されている。(東慶一郎)

 ガイドラインは2018年、国際協力機構(JICA)が同会側に作成を申し入れ、JICAが中村医師や同会とやり取りしながら執筆を進めた。同会によると、中村医師も「アフガン各地に手法を広げられる」と提案を喜んだという。

 19年12月に中村医師が武装集団の凶弾に倒れた後も、同会の現地NGO「ピース・ジャパン・メディカルサービス(PMS)」の現地スタッフらが協力し、完成にこぎ着けた。日本語版と英語版に加え、現地語(パシュトゥン語とダリ語)版も作成。JICAのホームページで公開する予定だ。

 ガイドラインは取水 ぜき や用水路の建設に適した場所、住民との対話の重要性、資材や工法、河川への影響調査の方法など中村医師が実践した「PMS方式」と呼ばれる手法を350ページ以上にわたり説明している。

 00年の大干ばつを機に、医療支援と並行して用水路建設などに乗り出した中村医師が最も重視したのが、壊れても現地の人が修復できることだった。最新式の施設を造っても維持管理できなければ意味がない。

 中村医師が参考にしたのは地元・福岡県にある「山田堰」だ。江戸時代に筑後川から農業用水を取水するために造られた現役の施設で、川を横断してせき止めるコンクリート堰と違い、川の流れに対して斜めに巨石を敷き詰めて水位をかさ上げし、用水路に水を取り込む。増水した時には洪水が懸念されるが、余分な水は巨石の隙間と上部を流れるため被害を防げる。

 中村医師は、取水堰として十分機能するうえ、現地の限られた資機材でも建造や維持管理ができると考え、これを応用してアフガン仕様に発展させた。技術的にも高く評価され、日本の土木学会は中村医師に17年度の技術賞を授与した。同学会フェロー会員の市川 あらた さん(84)は「限られた条件の中、柔軟な発想で実用的な施設を造り上げたことが素晴らしい」と評価する。

 ペシャワール会は、03年から19年までに用水路など10の灌漑施設を完成させた。かつて干上がっていた約1万6500ヘクタールの土地は緑が広がる耕地として回復し、今も多くの農民の生活を支えている。今年8月、イスラム主義勢力タリバンによる実権掌握を受けて一時事業を停止したが、タリバン政権の承認も得て10月7日には工事を再開した。

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