家で過ごす時間とともに、人々が「料理」と向き合う機会も増えました。あるメーカーの昨年の調査では、コロナ禍で人々が料理をする頻度が高まり、若い人が料理を「趣味、日々の楽しみ」と捉える傾向も見られました。出社しないテレワークの日は、いつもよりゆっくり朝食を作るという人も、いるのではないでしょうか。
そんなライフスタイルの変化を反映しヒットしたのが、鋳物ホーロー調理器ブランド「バーミキュラ」のフライパンです。令和2年4月に発売されると、予約も含めて1年で約15万個が売れました。
持ち手は木製。料理をのせたまま、食卓に出してもさまになるスタイリッシュさです。持ち手の素材は、色の明るいオーク材と、こげ茶色のウォールナット材の2種類あり、さらに木目の表情にも味わいがあります。
フライパンを振らずとも、食材の余分な水分を素早く飛ばして、うまみを凝縮します。例えば朝食の定番、目玉焼きなら焼き目がカリッ、白身がふんわり、黄身はとろりと仕上がります。
一方、長く愛され続けてきたものもあります。工業デザイナー、柳宗理(1915~2011年)が手掛けた調理器具の数々です。
その一つ、鉄フライパンは、ふくよかな丸みがあり、温もりを感じるデザインです。持ち手は手になじみやすく、本体の両側には注ぎ口が羽根のように広がっています。
感性に訴えるようなデザインは、柳特有のものづくり手法から生まれます。一般的に調理器具のデザインは図面から起こしますが、柳は石膏(せっこう)を手で削り、模型のようなものを作り、持ったときの感覚を確かめてから、図面、金型を作ったそうです。
使うときは油をよくなじませて。左右に注ぎ口があることで、鍋肌全体に回したあと、余分な油が上手に切れます。
朝に卵を焼くときは…
使い心地や実用性を突き詰めたら、それがデザイン的な美しさになった、というものが生活道具には数々あります。服と違って、「誰かに見せる」ことよりは、むしろ、暮らしが心地よくなったり、「お勝手仕事」が楽になったりするかどうかが、選択の鍵となります。
さらに生活道具は、人々の暮らしをデザインします。
例えば朝食に卵を焼く。目玉焼きが食べたいなら、バーミキュラのフライパンを。一方、柳宗理の鉄フライパンはスクランブルエッグを作るのに向いています。鉄ならではの高温で、ふんわり、とろりと、具合よく焼けるのです。
おいしいだし巻き卵が食べたくなったら、日本橋木屋の玉子焼鍋を。銅製で、鍋肌には錫(すず)が引かれ、薄焼きをふわりと作るのに適しています。持ち手の急な角度は、鍋を返しやすく理にかなっています。
実は玉子焼鍋には、長方形の西型と、正方形の東型があり、だし巻き作りには西型がおすすめ。東型はう巻きなど具を入れた厚焼きを作るのにうってつけです。
使うほどに銅が色に深みを増し、年季を刻むのも楽しみ。いずれのフライパンも長期使用を前提に、メーカーの修理サービスが充実しています。サステナブル(持続可能)に暮らしたいという、今のニーズに合う点も、支持される理由にあるのかもしれません。
(松屋 リビングコーディネーター 三﨑葉菜子)
くらしとデザイン-お勝手-朝食で選ぶ フライパン - iza(イザ!)
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