
くせのない粘り気とシャキッとした歯応えの海藻アカモクがトッピングされ、本格的な暑さも乗り越えられそうな気がする。麺にも練り込まれ、塩味のスープとともに口に広がる磯の香り。山田湾の漁師を悩ませていた「海の厄介者」が、特産品に生まれ変わった。
全国に分布するアカモクは、船のスクリューや養殖いかだに絡むため、「邪魔モク」などと呼ばれ捨てられてきた。そんな中で食材としての可能性に注目し、全国でもいち早く販売を手がけたのが、1998年に設立された山田町の「岩手アカモク生産協同組合」だ。
「リアス海岸の穏やかな湾と、海藻が根づくカキいかだの存在が、良質な天然のアカモクをはぐくんでいる」。代表理事の高橋清隆さん(48)が教えてくれた。3~5月頃に約60トンを収穫し、冷凍して通年で出荷している。
粉末にしてうどんやそばなどに加えていたが、三陸で人気のラーメンにも練り込もうと、3年ほど前に開発に着手。町内で製麺業やうどん店を営む「釜揚げ屋」の川村将崇さん(30)とタッグを組み、県産小麦を使いながら、のどごしの良い商品に仕上げた。
こうして5月1日、道の駅やまだであかもくラーメンが発売された。阿部達也駅長(59)は「大型連休で訪れた観光客に、ネバネバがおいしいと好評だった」と話す。
アカモクは海水の余分な栄養分を取り込み、富栄養化した水を浄化する役割がある。近年の研究で、赤い色素「フコキサンチン」に体の代謝機能を向上させ、肥満を抑制する効果も確認されたという。
「ラーメンをきっかけにさらにアカモクの需要を伸ばし、新たな収入源に育てたい」と高橋さんは夢を語る。「アカモクがあるなら」と、息子を後継ぎにする漁師も現れたという。1杯のラーメンに込められた思いは熱い。
アカモクはワカメのように海底から生え、長いもので10メートルに達する。11年前の東日本大震災では津波で根こそぎ流された。だが高橋さんは「必ず戻ってくる」と信じ、3年後に茂り始めた。
海は多くを奪ったが、海藻の生命力と自然の回復力には驚かされる。高橋さんの話を聞いた後、アカモクのかみしめ方も変わった。
せっかく再生した資源が枯渇しないよう、刈り取る場所と次の年のために残す場所を分けているという。海と向き合う知恵と作法を教わった気がした。
あかもくラーメンは税込み600円。スープ付き生麺2人前も販売(税込み380円)。海の幸たっぷりの磯ラーメン(同800円)、あずきばっとうソフト(同350円)も人気メニューだ。
所在地は山田町船越6の141。国道45号沿いで、三陸沿岸道路(三陸道)山田南インターチェンジから車で約5分。食堂の営業は午前10時~午後4時30分。問い合わせは0193・89・7025へ。
あかもくラーメン 道の駅やまだ(山田町) 海藻の粘り磯香る麺 - 読売新聞オンライン
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